辛い日々の始まり

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「-------------------------------」 死のう 俺はフラフラとフェンスに近づき 身を乗り出そうと それによじ登った ガシャンガシャンと 耳障りな音を響かせながら ひたすらよじ登る 早く楽になりたい もうこんな世界は嫌だ こんな世界にいたくない 皆が俺がいらないなら俺も皆がいらない 誰もいらない 俺は生きたくない ……もう無理なんだ…… 荒れたフェンスは俺の掌を傷つけ 血が滲んでいたが 痛みなんか感じない もっと別の場所が痛くて痛くて涙が出た 「-------------------------------ッ!」 雨が降っているせいか 手が滑って途中で落ちてしまった 思いきり尻を打ちつけ 舌を噛みそうになって 鈍い痛みが全身を駆け巡った 自分は失敗したのだ 暫く呆然と血が滲む掌と 足元のコンクリートを眺めていた 「……………………………………ぐぅぅ………… …………………うぅぅ………………うぅぅ…………」 あまりにも惨めで 情けなさすぎて その場にしゃがみ込んだまま 起き上がる事が出来ずに ただひたすら泣き続けた 今の俺には死ぬ気力も無い もう疲れて 力が残ってなくて ひたすら身体の痛みと心の痛みに耐えた 結局 死ぬ事も出来ずに このまま家に帰って いつものように酷い目にあわされて そして明日には何食わぬ顔で学校に行くんだ ………………小さい頃はよく こうして自殺しようとしたっけ その度に近所の人や家族に見つかって 酷い折檻が待ってたっけ 最後には悠真兄さんに 手酷く身体をいたぶられて 次に死のうとしたら 全身の皮を剥ぐなんて言って脅されて 恐ろしくなって死ぬのを止めたんだっけ 殺したいほど憎い俺を苦しめたくて わざと生かして傷つけるなんて 兄さんの俺を死なせない程度に苦しめる というものは 俺の心にしっかりと根付いて 着々と俺への復讐は進んでいっている 実際 俺は死にたくても兄さんが恐くて 死ぬという選択をいつしか捨てた 実際には見つかる前に 死んでしまえばいいんだけどな………… ………………………………………………助けて …………………誰か俺を救い出して 誰かあそこから俺を連れ出して 連れ出してくれるんだったら死神でもいい もう あそこには戻りたくない
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