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行為が終わっても
悠真兄さんは俺の身体を離さなかった
何度も何度も俺に囁き続けた
まるで呪文のように
俺のものだから誰とも話すな 何処にも行くな
誰も見るな 何も見るな 俺だけを見ろ
目を潰して何も映さなくしたくなるから
脚を粉々に砕いて
何処にも行けなくしてやりたくなるから
常に俺の側にいろ
籠に閉じ込めて一生出したくない
何度も何度も
壊れたおもちゃのように
駄々をこねる子供のように
俺に返事を確認しては
安心したように微笑んだ
どうして俺を閉じ込めたいのだろう
どうして俺が他の人を見るのが嫌なのだろう
悠真兄さんの綺麗な指が俺の頬を撫で
今まで見た事が無いないような表情で
俺の目を見つめてくる
何度も何度も頬を撫でつける
同じ動作を繰り返し
今にも泣きそうな顔で
俺の身体をもう一度掻き抱いた
「伊月………何処にも行かないでくれ………
お前がいないと俺は生きていけない…………」
「…………………」
「お前がいなくなったと思ったら
俺は…………俺の大事な人間はお前だけだよ
お前もそうだろ…………
俺達は常に一緒にいなければならない
離れたりしちゃいけないんだ
いいね 絶対に俺の側を離れるなよ…………」
「…………………」
何度も繰り返す言葉
何故 そんな風に泣きそうになるのか
何故 兄さんが辛そうなのか
俺には全然わからなかった
悠真兄さんのしたいように
させていたが突然の兄さんの言葉に
部屋の温度が下がった
「…………出来る事なら あの馬鹿家族にも
お前を見せたくないぐらいだ
あんな男には尚更渡したくない」
「え」
「可愛い伊月に
汚らしい手で触りやがって…………
もう大丈夫だよ
あの男をお前に近づけさせないから」
「…………………………」
………………………………………………え
「………………………今頃 入院中かな」
………………え……
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