辛い日々の始まり

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「……………ぁ…………」 「どうしたんだ こんな所で」 「……………………」 「……………入るか?」 「………………………………はい………」 目の前に現れたのは今枝さんだった 今枝さんは特に怪我をしているでもなく 元気な様子だ その姿を見た安堵でさっきまでの緊張が 多少解れホゥと息をついた …………でも今はまだ学校がある時間のはず 今枝さんも学校を休んだのかな ポロシャツにジーンズ姿だし どう見ても学校に行く格好ではない 何だか顔色が悪い 具合が悪いのか? …………ただ 何だろうこの違和感 最初に声をかけられた瞬間 確かに今枝さんの声だったのに 何故かゾクッとしてしまった 何故か悠真兄さんだと思った 2人の声は別段似ているわけでもないのに 何故そんな風に思ったのだろう 大体こんな所に悠真兄さんがいるわけない 先ほどの緊張とは違う意味の 緊張感が漂ってきた 元気な姿だったのは安心したけど 昨日 あんな別れ方をした後だし 今日 何故来たのかと尋ねられると 何と答えていいのか分からない 俺がグルグル悩んでいる間に 今枝さんは玄関に近づき鍵を開けた 玄関の扉を開け 俺にどうぞと言ってスリッパを出し 部屋の中へと消えていった
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