辛い日々の始まり

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「………………今枝さん?」 俺がおそるおそる台所の中を覗くと 今枝さんが項垂れながら しゃがみこんでいるのが見えた 「------------------今枝さん!? どうかしたんですか!」 もしかして 具合が悪くなったんじゃないかと思い 慌てて今枝さんの元に駆けつけた 今枝さんは 夢でも見ていたかのような顔をして 俺を見上げ そしてそのままぼんやり 明後日の方向を見ると 「……………伊月か………… そうだった……コーヒーだったな ちょっと待っててくれないか」 「………………………」 あまりにもその様子がおかしいので 俺は気が気じゃなかった でも 下手に何かあったのかと聞く事も出来ず ふつふつと湧き起こる嫌な予感に 気持ちは落ち着かなくなるが いまは彼を支えてあげる方が大事だと思った 「……………今枝さん コーヒーだったら俺が入れますから 今枝さんはソファで休んでてください さっきから顔色が悪いし 身体もふらふらしていますよ………」 「………………悪いな すまないがそうさせて貰うよ…………」 「はい」 俺がそう言ったら やっとノロノロと立ち上がり 俺も今枝さんの身体を支えながら 目的地のソファーまで2人で寄り添って歩いた 今枝さんはソファーに身体を鎮めた途端 脱力したかのように全身の力を抜き ゆっくり目を瞑りながら 浅い溜め息を何回か吐いた 「…………………はぁ…………」 「………………………」
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