辛い日々の始まり

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「今枝さん……… 俺そろそろ帰ります 失礼しました」 「……………伊月?ごめん 何?聞いてなかった」 「…………………………あの………帰ります 今日は突然尋ねてすみませんでした お大事にしてください」 この人が言葉を吐く その度に俺は傷ついていく もうこれ以上この人といたくない これ以上傷つきたくない 俺は今枝さんにもう一度 頭を下げると 逃げるように玄関へと向かった 「…………………伊月……………伊月!」 「-----------------------------------ッ!」 突然 尋常じゃない早さで 今枝さんにもげそうなほど強く腕を引かれた 「ごめん!悪かった……… 頼むから行かないでくれ……… 側にいてくれないか?………」 「え……………」 戸惑いながら おそるおそる今枝さんの顔を見上げると 先程と違い 目に幾分か生気が戻ってきた 「頼む………今は1人になりたくない…… 側にいてくれるだけでいいんだ…… 話を聞いてくれないか…………」 「…………………」 ………まさかそんな反応が返ってくるなんて さっきまで俺なんて全然見てなかったのに せっかく出て行く決心がついたのに 何でそこで引き止めるの そんな風に言われたら また変な期待をしてしまう 中途半端に俺に優しくするのは止めてほしい だって俺は今枝さんの事……… 「……………伊月…………? 怒ってるのか?ごめんな? 俺も伊月と別れてから いろいろあってな……… 疲れてたんだ……… こんな言い訳してごめんな……… でも今日 伊月が来てくれて 驚いたけど嬉しかったよ…… 昨日変な別れ方しちまったしな…… お前に謝りたかったんだ…… あの時はどうして帰ってしまったのか わからなかったが 今のお前を見ていて思ったんだ お前 もしかして俺の言葉に 何か傷ついていたのか?」
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