179人が本棚に入れています
本棚に追加
一睡もできないまま、朝を迎えていた。
目覚ましが起床時間を知らせる。止めて重たい体を起こした。
学校いくのか……
正直な所、行きたくない。不登校にとって学校とは恐怖の場でしかないのだ。
「亜樹のため、亜樹のため、亜樹のため……」
おまじないのようにぶつぶつ呟きながら、久しぶりにジャージではない服に袖を通す。
制服ってこんな息苦しかったっけ?久しぶりに着た感想はとりあえず動きにくいだった。
深呼吸をして、扉に手をかける。
そして、開け放った。見慣れた家の中なのにいつもとは違う世界に来た気分だ。
ガチャっと隣の部屋の扉が開き、秀太がでてきた。
「えっ……」と秀太が俺の格好を見て一瞬、時を止めた。
「ええ?秀、学校にいくの??」
こくんと頷いて答えると、秀太はどこか嬉しそうに笑い、なら一緒に登校しようと言った。
そして、久しぶりの通学。
断ればよかった。と後悔していた。今こんなに憂鬱なのは雨のせいではなさそうだ。
右腕に昨日、家を訪ねてきた変なモサモサ頭の男が絡みついてきて、いろいろなことを話してきている。
「まぁ、昨日のことは許してやる!!!俺ら友達だしな!!」
「あ、てか!お前のこと秀太からきいたぞ!!!!本当は今日、俺がお前をあの家から引きずり出してやろうと思ってたんだ!!!」
「俺、偉いだろ!!!感謝しろよな!!!!」
否、話すというより何か吠えている。
その駄犬が煩すぎて耳が悲鳴をあげはじめていた。
最初のコメントを投稿しよう!