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やっと、三階までのぼりきった頃には、息が切れて額には汗が滲んでいた。
亜樹の教室どこだろ……
朝の賑やかな廊下と教室。探し出すのはかなり困難に見える。
一つ一つ教室を覗いてしらみ潰しに探していくことにした。
一つ目、二つ目と探していると突然どんな騒ぎの声よりも大きな、そう近所迷惑になりそうな声が聞こえてきた。
騒ぎに寄せられるように野次馬が一つの教室に集まっていく。
俺も吸い寄せられるようにその教室に近づいた、けれど騒ぎが凄くてなかなか中の様子が見えない。
半ば無理矢理、ぐいっと体を入り込ませてやっと何の騒ぎなのか見ることができた。
そして、俺はまた無意識のうちに走り出していた。
そこには、探していた人がいた。その人は目を閉じてそっと窓から手を離した。
「亜樹っ!!!!!!」
短い距離なのにやけに遠く感じる、人目も構わずに叫び呼び止めようとした。
だけど、聞こえていないかのように窓の外へ背中を預ける愛しい人の姿。
無我夢中で手を伸ばしていた。
「くうっ……」
とっさに掴んだ手をしっかりと握り締めた。
そして、力強くでこちらへ亜樹の体を引き寄せた。
どさっと、亜樹の体が俺の体の上に倒れ込み教室内が一瞬、静寂で満ちた。
「お前なんなんだ!?!?」
モサモサ頭が流行りなのだろうか……?駄犬ツーが俺らの元に駆け寄り、静寂を崩すとそんなことを言い始めた。
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