第1章

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ハムスターのアニィは、毎晩10時になると毛繕いをしてからケージの扉を鳴らします。出発の準備が整ったのです。 すると、飼い主がケージを開けてアニィを手のひらに乗せ、そっと床に降ろします。冒険の始まりです。 ──行き止まり発見。 アニィは部屋の角っこ全てを掘ります。カーペットがめくれかけている所へ勢いをつけて、けれど丹念に掘るのです。 ──次は隙間。 パイプ棚の下はアニィの大好きな場所です。でも、雑誌で塞がれていて、なかなか入れません。 ──どこだ、どこだ。通り道。 探ってゆくと、するりと体が通れました。真っ暗な棚の下。ゴキブリ用の罠は慎重に避けなければなりません。 ──暗い、狭い、楽しい! アニィは毛並みをふかふかさせながら歩き回り──。 ──最後は、ここ。 床に座る飼い主の足をよじ登り、お腹にしがみつきました。すると、飼い主がケージの扉の前に運びます。 また、明日。
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