プロローグ

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頭の回転も速く、政治家肌の父は、毎日領地を駆け回り何かと命令していた。 休みの日には家族と過ごし、私のことを可愛がってくれた。 時おり開かれる舞踏会で私を自慢することも忘れなかった。 理想の家族? そう、そのとおり。 理想の家族だ。 良妻賢母の美しい妻に威厳はあるがこれまた美丈夫で知られた父。 なんとも羨ましい家族だ。 父は母を終生愛し、...いや、愛してはいなかった。 彼はいつも妻をさげすんでいた。 女は男に付き従うものと常々口にし、母を押さえ付けていた。 愛などは微塵も感じられなかった。 外では彼女の腕を取り、さも優しい夫を演じたが、実際どうであっただろう。 私の記憶は曖昧だ。 何となくだが少しずつこのページに綴っていこう。
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