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----“呪い”。
その言葉がいつから生まれたのか。誰も知らない。ただ目にすることもできないはすなのに。人は“呪い”という言葉を信じている。“呪い”が存在していることを感じている。
それは、人間という固有に染みついた“脈”からくるものかもしれない。自覚もない。ゆっくり、ゆっくりと受け継がれていく。人は、その脈々と受け継がれ続けている“原罪”を“呪い”と呼称している。
私は断言できる。“呪い”とは決して、幻想的な神秘的な存在ではない。実在している。
その確たる証拠は、この私自身なのだ。
この怪文書が某出版社に送られたのはずいぶんと前のことになる。丁度、“例の事件”で世間が騒がれていたこともあって、関連しているのではないかと思われたが、根拠もないも記されていない単なるタレコミとして出版社で処理され、やがて事件の風化と共に忘れ去られた。
今にして思えば、あれは彼が誰かに宛てて書いた“罪”の告白だったかもしれない。
憎むべきは人なのか、それとも罪なのか。もしくは、“呪い”なのか。永遠のテーマであるかのように、彼は世間に問いかけたかった。だが、その告白は日の目を見ることはなかった。
きっと、それは何かが決めたことなのだろう。誰でもない。何かが。
彼はその頃から勉強をし幾つか書物を出すことになった。ベストセラーと呼ばれるほどの売り上げではないが、興味深い内容は多くの人々の関心を寄せることになる。
人間のある“心理”と“呪い”の関係。彼が提唱する“呪い”は今でも私達の心の中に残っている。そして、それはいつ本当の呪いとなってもおかしくなかった。
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