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両親が離婚をすると言った日。
僕は、まだ3才だった弟を連れて家を出た。
僕が6才の頃の話だ。
今思えばたった3㎞ぽっちの逃避行だったけれど、初めて子供だけで外へ飛び出した僕達には大冒険だったんだ。
僕達は、自然公園を目指した。
弟はすぐに愚図ってしまっておんぶした。すごく重く感じたのを覚えている。
いつも車で行っている公園までの道のりは、銀杏並木を真っ直ぐだから簡単だった。
秋も終わりに近づいて緑や花で鮮やかだった公園はひっそりとしていた。
両親は、僕と弟を別々に引き取りたいと言った。
この家出はそれに対する幼かった僕なりの、抗議の冒険だったのだ。
だけど暗くなった公園で、眠る弟をおぶった6才の僕は、寂しくて寒くて。
母さんのクリームシチューが食べたいと泣いたんだ。
4人で囲む今日の夕飯は母さんの得意なシチューで。
僕はそんな懐かしい出来事を思い出していた 。
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