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私は風を浴びながら駅のホームで線路を眺める。
疲れた。
もう疲れたよ。
苦痛にまみれた毎日に。
生きていくことに疲れた。
楽になりたい。
全てを終わらせて楽になりたい。
ホームにアナウンスが流れる。
電車が来る。
私はホームの端に立った。
あと一分ほどで終わりが来る。
やってくる電車を見ようと顔を上げた時、耳慣れた電子音が鳴った。
メール?
私はポケットから携帯電話を取り出した。
誰から?
メールアドレスを確認すると、それは意外なものだった。
え?
私?
メールアドレスは私のアドレスだった。
題名は『自殺する私へ』。
どういうこと?
私はメールの内容を見る。
『久しぶり。というのは少しおかしいよね。私は未来のあなた。あなたの自殺は失敗するわ』
私はメールの内容に眉を寄せる。
何、このメール。
『あなたは今、電車に飛び込んで死のうとしているけど、それは失敗するの。信じられないと思うけど、これは事実。その証拠に後ろを見て』
私はメールの通りに後ろを見る。
すると、私の後ろを走っていた男の子が、少し先で転んでわっと泣き出した。
男の子の母親と思われる女の人が、急ぎ足で男の子に近寄り抱き起こしている。
私は再びメールを見た。
『男の子が転んで泣き出して、お母さんがあやしてるでしょ?』
私は目をみはった。
『これで信じてくれたかな? 信じてくれたよね。私だから。で、ここからが本題。自殺をやめて』
自殺をやめて?
やめられるわけないじゃない。
もう限界なのよ。
『限界だと思うけど、自殺をしたら今以上の地獄がまってる』
今以上の地獄?
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