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『自殺に失敗してあなたは寝たきりになるの。私は今、病院のベッドの上にいる。機械に繋がれて、自由なんてない。病院にいるから、もう自殺だって出来ない。それどころか電車に飛び込んだせいで、莫大な損害賠償を請求されて、お母さんたちにも迷惑をかけるの』
損害賠償。
現実に殴られたかのように、私の頭はくらくらした。
線路を見ていたら、全てを終わらせたくなってしまったけれど、電車の飛び込みには損害賠償が付いて回る。
自分が楽になりたいばかりに、お母さんたちを地獄に突き落とすところだった。
そんなこと、私は望んでない。
私はホームの端から離れる。
そこに電車が入ってきた。
私は電車を背に、ホームを後にした。
そして私は。
ビルから飛び降りた。
私は今、病院のベッドの上にいる。
機械に繋がれて、自由なんてない。
もう自殺だって出来ない。
私は自殺に失敗した。
ビルから飛び降りたあと、偶然下を歩いていた人にぶつかって九死に一生を得た。
人のいない場所と時間を狙って飛び降りたけど、考えが甘かった。
私の下敷きになった人は重体で、お母さんたちはその対応とビルへの損害賠償に追われている。
とんでもないことになってしまった。
やり直さないと。
全てをやり直さないといけない。
私の脳裏にはいちるの望みがあった。
メール。
メールを出したい。
私から私へのメール。
過去へのメール。
メールの題名は。
『自殺する私へ』
end
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