夢幻回廊

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私はたゆたう。 無限の時を、無辺の場所を。 ああ、また同じ、同じ時を繰り返す。 過ちの時を、幾度となく。 無駄に過ごし、無駄に繰り返し、何一つ変えようとしない私が。 愚かに際限無く。 この片手に握り締めた小さな機械。 これだけが、たった一つの希望なのに。 (いいや、違う。これは悪魔の囁きを告げるもの) 未来の時の中で、過去へ向けて送り続けるメール。 (結果を知りながら、自らを罠に誘う自虐的なメール) たった一つのメールは、無限の過去に生きる私へ繋がる。 (これは奇跡。違うわ、間違いなく悪魔の所業) だけど私は、愚かに繰り返す。 (分かっていながら、ただ己を呪い) 忠告を嘲り、甘言を受け入れ、何も変えない。 (違う、忠告じゃない。これは己に向けた憎悪) だから幾度となく繰り返しているのだ。 (本来するべき後悔から逃げて)
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