夢幻回廊

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本来なら、人が知るべくもない未来からのメールを受け取った私は、他の人とは違う存在だったのだろうか。 人ならば誰もが望みはしなかっただろうか? 自分だけは特別なのだと。 だから、メールを受け取った私は、愚かに一つの行動を繰り返す。 「おめでとう、過去の私へ。  未来に於いて私は特別よ。  誰もが知らない場所で、  特別な存在になるの。  信じられない?  嘘だと思うなら、  無視して削除すれば良いわ。  でも確かめたいと思うなら、  ただ見たいと祈りなさい。  ……僅か一時間先の、未来の貴女より」 そうよ、嘘は吐いていない。 機械如きじゃ、人の心までは送れない。 こうやって罠は仕掛けられるけどね。 ああ、もうすぐ新しい私が此処へ送られて来る。 恋敵を線路に突き落とした私が。 そうして今の私は消える。 記憶だけを引き継がせ、過去の私を置き去りに。
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