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何だかなぁ…。
山口さんは悶々とした気持ちでキッチンの棚上から出てきました。
山口さんは無精ヒゲを顎に蓄え、老眼鏡をつけた初老の小人です。
山登りスタイルで手にはロープ、それをどこぞに引っ掛ける金具が先端に付いているものを右手に持っています。
「そりゃ!」
頼りない勢いで、ロープを少し離れたところに放り投げます。
とは言っても、キッチンの棚は二段あり先ずそこからです。
この部屋の家族は今いません。
お父さんは長い海外出張、パチンコ好きのお母さんは車に息子の優馬くんを寝かせたまま、パチンコをしています。
今日は炎天下。
優馬くんが危ない!
テレパシーで感じ取った山口さんは、自分の部屋にしてるキッチン棚から出たことなかったのですが、緊急事態。
行かなくては!
大好きな優馬くんが危ないのです。
家の前にあるパチンコ屋さんの駐車場。
「ワシが今すぐいくからのぉー、待っておれぃ!!」
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