15歳の私へ

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そんな不思議な出来事から5年後、私は生きていた。 病院に通っていたおかげで、病気がすぐに見つかったためである。 さらに、二歳年上の彼氏と式を挙げる約束までした。 友達と京都に旅行にも行った。 お母さんとお父さんに精一杯の親孝行をした。 恋人だった人は旦那さんとなり、二人の子供も授かった。 私の人生は十分すぎるほど、充実していた。 私は伝えたい。20歳で死んでしまった私に、私は元気だと。 あなたがやり残した事をできたと思うと。 あの時、教えてくれてありがとうと。 そして……私は寿命で死んでしまうようですと。 死ぬ前、私は病院で寝ていた。 声も、思うようにでない。 周りで娘や息子が座ってじっと私を見ていた。 「み、き」 「なに、お母さん」 「メール、うっ、て」 私は無理やり自分の声を出した。 きっと、20歳の私もこんなように最後の力を振り絞ってメールを打ってもらったのだろうか。 メールを打ち終わる頃には、もう力があまり残されていなかった。 「お母さん、これ誰に送るの?」 娘がそう聞いてきたけれど、もう声を出せそうにない。 誰でもいい、そのメールを、15歳の私に送ってほしい。 そして、私ともう一人の私の想いを届けてほしい。 そんな事を願いながら、そっと目を閉じた。
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