崩壊する、ボクの日常

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ボクの名は日和見 桜。 海外生活八年目、私立プライオリ校で学業にまずまず励む十六歳。 長い夏休みも明けて、ボクは郊外にある自分の家から学校の寮へ車で送ってもらっている途中だった。 青空からくすんだ雲に覆われた空、緑が優しい田園から、茶色と灰色のシティへと変わりゆく風景を窓からぼんやり眺めている今の自分が胸に抱いてる感情が、寂しさよりも安堵に似ていたりするのは、どうにも馴染めなかったからだろうと思う。 今年の春に再婚したママと、林さん――新しいパパが住む家に。 二ヶ月前、林さんがボクの迎えに寄越したのは、馬という見た目が七十歳近い中国人のお爺ちゃんと、ジェイソンという三十代くらいの米国人のおじさん。もちろん二人とはその日が初対面。 『よろしくな、坊っちゃん』 陽気なジェイソンと、穏やかでもの静かな馬じいや、共通してるのは髪の毛が薄いところ。 ジェイソンは茶色の髪が額から薄くなった若禿げ、馬じいやは……後頭部に残ってる髪の毛も白いし……年相応なのかな。 でも、妙に似合ってる。 特に目付きの鋭いジェイソンは、禿げててもセクシーな男だった。
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