第1章

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ピンポーン ピンポーン 「はーい」と返事をして、玄関へ行き、扉を開けてみた。すると、「宅急便の者です」と笑う高校生くらいの男の人がいた。そしてどっさり抱えた荷物を玄関においてくれた。 「あ、ありがとうございます。」 「いえ」 その宅急便の人と目を合わせた。 ・・・・・・・ん? え、え、まさか。そんなわけないよね。え? 顔をみて、びっくりした。あの、ちゃろなんだから。あのトークアプリで たまたまであった、ちゃろ。ちゃろも、私をみてびっくりしている。 「・・・あ、あの・・・ちゃろ?」 目を、大きく見開いて、私は聞く。ちゃろは、固まってしまっている。ここは兵庫県だ。兵庫県の、とある小さい町だ。そこに、ちゃろが? 「あや・・・えっ?」 ちゃろはじっと私を見つめる。それを私も見つめ返す。 「わぁぁぁああっ」 ちゃろは驚きの声を上げて、ピョーンと外に飛び出して、去っていってしまった。私はなにがなんだかわからなくなって、とにかく箱に入っているものは何かとあけてみた。そこには、無数の食品など、手料理が入っていた。見ると、おばあちゃんの家からだ。となりのとなり町の、おばあちゃんの家。いつも面倒くさいからという理由で、宅急便で送ってくるのだ。魚やお米、豆腐。おかしなどを分ける紙袋でぎゅうぎゅうだった。ともかくその荷物は置いておいて、トークアプリをみてみた。トークをしようとする。だがそこには、ちゃろの名前がない。 ・・・! 友達削除されたのだ。あまりのショックだったらしい。頭の中で、寺の鐘が鳴り響いた。3回、4回、5回。ようやく止まる。はあ、とため息をして、私はこう思ったのだ。 世のなか、狭い物。 END
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