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嫌だなあ、声がするんだ。
ボクの人生は、ボクのものだとボクは思うんだ。
「あの子は弁護士として育てるべきよ」「いいえ、あの子はお医者さんになるのよ」
……ねえ、ボクを見て。
ボクを愛して。
そうやって、大きな声で泣いても、ボクの両親は聞いてくれない。
ボクはね、鳥になりたいんだ。自由に空を飛んでみたい。
自由って言うなら、そうだね、海賊になってみるも良いと思う。
「水泳教室、」「フランス語教育、」「計算塾、」
ああ、ああ、もう……もう!
そう思っていると、強い風が吹いてきた。
その風は、どんどん強くなってきて、ボクの乗っている乳母車をぐんぐん押していくんだ。
ああ、このままだと急な坂に落ちてしまう。
――ママ、ママ!助けて!このままじゃ、ボクは……
「税理士でもいいわね。」「スポーツ選手とかも夢があるなぁ。」
なんで、なんで? ボクの言葉を聞いて。
ボクを見て。
ボクを見て!
……けれど、ボクを見てくれない。
ボクの未来を話しているのに、ボクは見ていない。
ねぇ、もしかしたら、これでボクはやっとボクの人生が送れるのかもしれない。
ならば、この風に身を委ねてみよう。
まるで空を飛んでいるみたいだ。
すると、凄く強い風が小さな金色の手紙を運んできた。
それが乳母車に入って来たから見てみた。
『やあ。はじめまして。昔のボク
……と言っても、この手紙をキミが読めるかどうか分からないけど。
でも、自己満足として書いておくよ。』
なぜか読めた。
どうやら、これは未来のボクからの手紙らしい。
ボクはこの不思議な手紙を読んでみることにした。
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