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キ76三式指揮連絡機、通称ナナロクとは扶桑陸軍の運用する多用途小型飛行機で、どこでも着陸できることを目指して開発されたSTOL(短距離離着陸)機である。
軽量軽快な機体と特殊なフラップにより安定した長時間滞空特性を持ち、条件次第では滑走距離ほぼゼロでの離陸も可能と文字通りの短距離離着陸っぷりを発揮する本機は、地上部隊の空中指揮から部隊間の連絡、観測、輸送に偵察、果ては街中のちょっとした空き地に着陸してタクシー代わりや買い出しの足にまでと、陸軍を中心に広く運用される隠れた名機であった。
またその高性能さは、同様の機体(Fi156 シュトルヒ)を運用していたヒンデンマルク軍がこれを輸入し「Kirschblüten(ヒンデンマルク語で桜の意味)」と名付け採用するなど、世界中にも広まっていた。
そんな機体が何故、今ここにあるのか?
如何に多用途とは謂えども、流石に結婚披露宴には縁遠いような……。
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