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さっぱり状況が飲み込めず、戸惑うスロロコに武政さんが飛行帽を手渡す。
「君たちの計画では、ハネムーンは後日ということになっていたが……」
ちらりと会場に目をやる武政さん。
その視線の先では、リトルミック前国鉄総裁とエンドウ管区長がにこにこしながら2人を見ていた。
「『任せてると、どうせいつまでも行かないだろうから』ということで、あの2人と私からのサプライズだ」
完全に思考を読まれていたか──と苦笑しききりのスロとロコ。
結婚式だけでも、とても身の丈に合わないような規模になってしまったのに、新婚旅行なぞとてもとても……と、適当なことを言って当面の間先延ばしを繰り返すつもりだったのだ。
それにスロロコの二人は、普通の夫婦に比べれば長い時間をともに過ごしてきている。
先延ばしを考えたのは遠慮ばかりが理由ではなく、今更二人っきりで旅行といっても……という思いもあったのだ。
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