1人が本棚に入れています
本棚に追加
誰も見ちゃいないのなら、こんな凶行に出たって気付きはしないだろう。
いっそこのまま、少し苦しんであっさり存在を消してしまえば。
誰かは、振り向いてくれるんじゃないかな。
そう信じたいな……。
震える手で僕は、タオルを首に巻きつけようとした。
だがその途中、さっき投げ飛ばした携帯が再び震える。
1回で振動は終わり、それがメールだと悟った。
僕の携帯に届くメールは、キヨマサしかいない。
そうわかっていても僕は、その携帯に手を伸ばす。
だが画面を見ても、そこにキヨマサの文字は1文字も無かった。
件名も無いし、本文も1文だけ。
だけどこのメールアドレスには、見覚えがある。
僕の、アドレスだった。
バグか?
そもそも、僕のアドレスで送れるはずがない。
誰か僕のアドレスを作って送ってきたのなら、話は別だが。
だけど本文には、その考えを一瞬で吹き飛ばす内容が書かれていた。
『君は、そのままでいいんだよ』
送信日時は、15年後の今日。
さらにメールに添付された、1枚の画像。
それは明らかに、僕自身だった。
少し大人びた僕と、隣には子供を抱きかかえた女性。
何が、どうなってるんだ?
最初のコメントを投稿しよう!