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盾に隠れながら慌てて振り返る
「いや、違うんですっ!!別に盗もうとかそんなじゃ……」
だが、顔を確認してまたため息が出た
「脅かすなよ、千里……」
「何?……それ……」
「魔法の盾だって……」
「へぇ~…強そう……」
「思ってないだろ……」
「………なんでここに居んだよ……」
「ほっ、ほらっ……1人だと、心細いかなと思って……」
「……千里ってさ…………いい奴だよなぁ~っ……俺、泣きそう……」
「そっ、そんなにっ!!……」
「………でも、本当に良い人は山紫君だよ……」
ここから千里は少し恥ずかしそうに小さく呟いた
「私を、あの地獄から救ってくれたんだから……」
「え?……」
「うんうんっ!!なっ、なんでもないのっ!!……」
「ほら、早く行こ?!!……2人も門前で待っててくれてるからっ!!……」
慌てた様子で振り返り、俯きながら歩き出した千里
この時俺は悟った
自分の運命を
「千里っ!!……」
呼び声と共に、俺の足は走り出してた
校舎脇に立つカーブミラー
俺の角度からそれは見えていた
でも、千里の角度からは部室棟の影で見えない
飛び出した所で鉢合わせするパターンのやつだ
荷物を運ぶ運転手もこんな所でこんな時間に、しかもセンター試験の日に学生が居るとは思っていないのだろう
スピードもかなり出ている
全てがゆっくりに見えた俺の集中力は今日1番だ
あ~あ~……この集中力、テスト中に欲しかったなぁ~……
……このまま行ったら死ぬよな………まさか敷地内とは~…恐れ入ったよ【四苦八苦】……
…………でも、どうせ死ぬんなら……こういう死に方も悪くないかも……
トンッ
千里が突き飛ばされた後、激しい衝撃音とブレーキ音、そして割れたガラスが綺麗に宙を舞っていた
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