祝賀電報

7/10
前へ
/10ページ
次へ
盾に隠れながら慌てて振り返る 「いや、違うんですっ!!別に盗もうとかそんなじゃ……」 だが、顔を確認してまたため息が出た 「脅かすなよ、千里……」 「何?……それ……」 「魔法の盾だって……」 「へぇ~…強そう……」 「思ってないだろ……」 「………なんでここに居んだよ……」 「ほっ、ほらっ……1人だと、心細いかなと思って……」 「……千里ってさ…………いい奴だよなぁ~っ……俺、泣きそう……」 「そっ、そんなにっ!!……」 「………でも、本当に良い人は山紫君だよ……」 ここから千里は少し恥ずかしそうに小さく呟いた 「私を、あの地獄から救ってくれたんだから……」 「え?……」 「うんうんっ!!なっ、なんでもないのっ!!……」 「ほら、早く行こ?!!……2人も門前で待っててくれてるからっ!!……」 慌てた様子で振り返り、俯きながら歩き出した千里 この時俺は悟った 自分の運命を 「千里っ!!……」 呼び声と共に、俺の足は走り出してた 校舎脇に立つカーブミラー 俺の角度からそれは見えていた でも、千里の角度からは部室棟の影で見えない 飛び出した所で鉢合わせするパターンのやつだ 荷物を運ぶ運転手もこんな所でこんな時間に、しかもセンター試験の日に学生が居るとは思っていないのだろう スピードもかなり出ている 全てがゆっくりに見えた俺の集中力は今日1番だ あ~あ~……この集中力、テスト中に欲しかったなぁ~…… ……このまま行ったら死ぬよな………まさか敷地内とは~…恐れ入ったよ【四苦八苦】…… …………でも、どうせ死ぬんなら……こういう死に方も悪くないかも…… トンッ 千里が突き飛ばされた後、激しい衝撃音とブレーキ音、そして割れたガラスが綺麗に宙を舞っていた
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加