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仕立ての良い店員を先頭に、商人の飼い犬を連れて進む。周りの子飼いは、子供が逃げ出さないかの見張りをしているらしい。
強面が目を光らせている中、子供達は脅えながらも前へと歩む。
珍しい品々が飾ってあるというのにびくびくと怯え、眺める余裕もなく誘導されるがまま従っていた。
勇者も鑑賞はほどほどに、先行く子供達に倣う。
そして、地下へと続く階段に足を踏み入れた。その瞬間、鼻をつまんだ。
不臭がすごい。僅かに血の匂いもする。
「ねえ、ここ。ゴミみたいな匂いしない? もしかして、ゴミ溜めなの?」
「……口を閉じろ」
周りを囲む男の一人が、口数少なく注意する。勇者は構わずに鼻をつまみながら、手で匂いが来ないように扇ぐ。
「えー、だってくさいじゃん」
手で扇いだところで変化はないのだが、人間らしく残った部分が気分的にやってしまう。
「……黙れっつってんだろッ」
荒々しい言葉を吐く男は話相手にもなってくれない。
「つれないなあ。まあ、いっか」
はあ、と肩を落とす勇者。楽しみに奴隷というものに身を置きに来たものの、わざわざ臭い所へ飛び込む理由はない。
だが、勇者は深く考えることを止めた。流れに任せるのも一興と、子供達の遅い足並みに揃え、黙々と下へと降りることにした。
階段がやっと終わると風景が一変する。
一階は過度な装飾品で埋め尽くされ、貴族が入っても違和感がないのに対し、地下のここは死刑囚が押し込まれるような部屋だ。
檻、檻、檻。見渡す限り鉄製の檻に囲まれており、そこに閉じ込められているのは子供達だけ。
年端もいかない子供に、成人を向かえていないような歳若い少年少女。
ただ、勇者が見詰めるのは一点のみだ。
――そこに、魔族がいた。
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