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大切な人は綺麗な金髪に、清んだ瞳は青色だった。
それが今や、全裸で嬲られている。顔には光がなく、絶望な表情で歪んでいた。所々に青アザが目につき、首には締められた跡もあった。
彼女は唇を噛む。血を流すのも構わずに、大切な人の胴体を抱いた。
大切な人の手はない。
『許さない、許さない、許さない』
大切な人の足はない。
魔族に肢体を切られ、犯されていた。
彼女は恨んだ。力のない自分を、大切な人を弄んだ魔族を。
黒き憎悪が心を埋め尽くす。
溢れ出た感情に身を任せ、空を見上げた彼女。ぽつりと一粒の雨が頬を濡らす。
血塗られた遺体を抱き上げ、決意と共に勇者は涙を流し。
『あなたたちを、わたしは許さない。大切なモノを生きる希望も、勇者のわたしが全部コワシテあげる。殺して、殺して、殺して、お前ら魔族を潰してやる――』
勇者とは――魔物を殺す者。
勇者とは――魔族を殺す者。
勇者は誓ったのだ。あの日、人族以外のモノを根絶やしにしてやると――。
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