第1章

10/10
前へ
/10ページ
次へ
引き出しの奥から取り出した昔のスマホ、古い充電器で充電をしながら、電源を入れる。 ずっと存在を忘れていた。 電源が入ると同時に、なん十通というメールが立て続けに受信される。 アドレスはどれも同じ、 『30年後の私』だ。 その時、当時のメールが記憶の中から蘇った。 『初めはよかったのよ。』 『なんの副作用なのか。』 この黒い点も、まさか副作用? 未読メールをスクロールして、一番新しいメールを開封した。 受信日時は、今日。 しかも、今さっきの時間だ。 件名:(無題) 本文: ばか そこには、写メが添付されていて、 全身が巨大な干し葡萄のように、 黒くしわがれた物体が自撮りした写真だった。 あああぁぁっっっ!! スマホを落とした私は、 ぼろぼろと涙をこぼしながらしゃがみこんだ。 過去も未来も今も、 すべての自分を呪った。 『30年後の私』まで、 あと数年…。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加