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僕らは空想の中で生きていた。
時には火を吹く巨大な龍と剣一本で対峙し、時には彼方に続く大海原にまだ見ぬ島を探して船を出した。
その冒険は幾つもの危険を伴った。
けれど、いつだって僕の隣には双子の兄がいた。
僕らは一卵性で顔もそっくりだったし、考える事も同じだった。
他人とだったら一から説明をしないと通じ合えない世界。
けれど、兄とだったら説明は不要。
それはまるで、SFの顔認証システムみたいに、ピッと小さな音を立てて扉が開くような。
そんな世界を僕達は持っていたのだ。
けれど、一年前兄は事故で死んだ。
僕が風邪を引いて行かなかった遠足での事だった。
僕は沢山泣いた。
まだ途中の冒険があるだろ?
もっと話がしたい。
涙は一晩中止まらなかった。
涙が枯れる頃、僕はある事を決意した。
僕らだけの世界でたった1人の兄と冒険を続けようということ。
僕らは空想の中で生きていこうということ。
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