第1章

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私、綴架音(つづり かのん)の通う学校ではある噂が流行っていた。なんでも、未来の自分からメールを受信するんだとか。 なんだそれ、どっかのホラー映画で見たことある感じだし。口に飴突っ込めってか。 「かのー、聞いてるー?」 「はいはい。聞いてますよ」 今は学校の休み時間。友達数人との駄弁りタイムだ。 女子高生に食い潰される話題にはちょうどいいだろう。よくある恋愛小説のネタだ。 「確実に聞いてなかったね」 「まぁ興味ないし」 「でも未来の自分からメール来たらって考えたらワクワクしない?」 「未来の自分のアドレスハッキングされてるならドギマギはするでしょうけどしない」 「そんなことできるのは霊くらいだって。つまり自分はすでに……」 二人とも夢がないな~、と言われる。ホラーはお好みではなかった模様。 そのとき教室の扉が開く。 「綴いるー?ちょっと頼みたいことがあるんだけどー」 「あっ、はーい」 「また?断りなよ」 その言葉に私は苦笑する 「まぁ、頼られるのは嫌いじゃないから」 そう言って私は教室を出た。 -- そして家に帰ってきた瞬間メールの着信音が響いた。面倒だなぁ、と思いつつ差出人を見ると背筋が凍りついた。 『綴架音』 こんな特徴的な名前が他にいたら逆に会ってみたい。
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