第1章

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『明日の放課後、一人で以下の場所に来てください』 とだけ書いてあった。学校から歩いて数十分くらいの森の深部だった。 イタズラだろう。そう思って私は二つ折りの旧式ケータイをしまう。 -- しかしなにかあったら困るので行くことにした。これをしなかったせいで世界が滅ぶとか寝覚め悪いし。 やたらと鬱蒼とした森だった。葉っぱが顔に当たるし虫がやたらいるし腹立つ。何度帰ろうかと思ったことだ。 けれど我慢して歩く。ここで帰るのはなんか癪だし。 そして指定された場所に辿り着くと今まで森林!って感じだったのが竹林!って感じに変わっていた。それなりにワサワサしている。パンダだったら楽園だろうに、私は笹を食べる趣味はない。 で、着いた。 だからなに? 「結局無駄足かぁ……」 腹いせに笹狩りでもしてやろうかな?と思ったそのとき、横にスッと着物姿の少女が現れた。 現れた。 二人の視線がぶつかる。 「……えぇっと、初めまして?」 「どうも」 キョドキョドした彼女は袖を擦り合わせながら私を上目づかいで見つめる。男子ならイチコロになりそうな小動物っぷりだ。 影がない少女でなければの話だったけど。
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