第1章

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「私が見えるんですか……?」 「見えるし聞こえるしその気になれば触れるよ。霊との付き合いは長いからね」 こんなくっきりしたのは久しぶりだけど。それに気がつかなかったっていうのも気になるし。 恐らく地縛霊。何年前の人かまではわからない。見た目こそ同い年っぽいけど好き放題いじくれるし。 「それで?一応憑かれると困るから成仏してもらうことになるんだけど恨み辛み未練は何?」 「……わからないんです」 「えっ?」 「私は何もわからないんです。名前も、生まれも、死因も、未練も、何一つわからないんです」 「……あちゃー」 こりゃ面倒なやつに当たったなぁ。たまにいるんだよね、死んだときに記憶失う子。 まさか未来からのメールでこんなことになるとは、正直面倒だけどほっとくのもしのびない。 「じゃあ誰なのかがわかれば未練ももわかるかな?」 「……かもしれません」 「じゃあちょっと頑張ってみるからさ。わかること言ってみて?」 そういうと彼女はぽつぽつと話始めた。 ・動けるのはこの竹林だけ ・他の幽霊にはあったことがない ・人を見たことはあっても話したことはない 結果、上記のことがわかった
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