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「良かったね。父さん。それで?いつ会えるの?その人に。」
「瑞樹……っ!反対しないのか!?いいんだな!?」
「は、反対って………っ、そんな事するわけないよ……っ。」
驚いて聞いてくる父さんの言葉に、逆に僕の方が驚いた。
反対なんて、今までの父さんを見てきてするわけが無い。その人は、傷ついた父さんの心を癒してくれたんだろう。
父さんが再び結婚しようと思えた人を、僕が拒否るわけが無い。
「じ、実はな………この後、一緒に食事をする約束をしてるんだ。」
「ーーーーええっ、今日!?」
何て用意周到なんだっ!
「じゃあ、急いで用意しなきゃ………っ、」
「その人は、白井 愛理さんっていってな………、父さんと同じ会社で働いている……て、瑞樹、そんなに早く用意しなくても。」
予測してなかった急用に慌てた僕は、父さんの話も聞かずに部屋へ戻った。
着飾る必要もないが、身内になる人だ。一応失礼のない格好をしないと。
もう、頭の中が父さんの再婚話でいっぱいになってしまった僕は、すっかり白井くんのことなど、頭の隅に追いやっていた。
だって。まさか。そんな。
この後に、また君と会うなんて考えもしなかったから。
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