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こんな。こんな事って、本当にあるんだろうか。
「えぇっと、瑞樹。こちらが、話した白井 愛梨さん。お前も何回か会社で会ったことあるよな?それで、こちらが………。」
僕は確か、さっき父さんから再婚したい人がいるって聞いて。今から会ってくれるかって言われて。
それで、このレストランに来た筈だ。
「紹介は大丈夫ですよ。正次さん。
…………ねぇ、先輩?」
「あら?あんたたち知り合いだったの?」
だから、こんなとこで君と会うなんて。
そんな事、あるはずないんだ。
「そういえば、同じ高校だったね。なんだ、瑞樹と弘明君は知り合いだったのか。」
まさか。そんな。
君が、父さんの再婚相手の子供だったなんて。
「数時間振りですね。先輩。」
「………………白井くん。」
何度、目を擦っても。何回、頬を抓っても。
僕の目の前にいる人は、変わることはない。
にっこり。と、僕の好きな笑顔を浮かべるその人は。
数時間前に、僕を振った白井 弘明くんだった………。
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