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「ーーーー………ふぅ、うう……っ。」
溢れて抑えられない嗚咽を隠すために、ベッドに倒れ込んで枕に顔を埋める。
あの日、白井くんに気持ちがバレてしまった日。あの時は、泣くことがなかったのに。
あの時も、確かに悲しかったはずなのに。
なんで、今。こんなにも涙が止まらなくて悲しみも大きいんだろう。
何とかして止めようとするのに、一向に止まってくれない。
悲しくて。悔しくて。
騙されていた自分が、情けなくて。
それなのに、確実に、一緒に暮らす前より僕の中の白井くんの存在は大きい。
こんな事になっても、薄くもならない小さくもならない。
少しも、消えてくれない。
父さんたちが帰ってくるまで、あと2日。
ううん。その後だって、2人が遅い時や出張の時とか、白井くんと2人で過ごさなきゃいけない日は、確実にやってくる。
「これ、か、ら、どうし、たら…………。」
涙声で詰まりながら声に出しても、答えなんて浮かんでこない。
本当に、どうしよう。
止まらない涙のせいで、頭痛までしてきた。
考えても纏まらないまま、疲れてしまった僕は、意識の奥底に段々落ちていった。
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