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次の日。
僕は、朝練がある白井くんよりも早く起きて家を出た。
彼が起きないよう、そうっと動いて用意して。
流石に、今日は朝食やお昼のお弁当を作る気にはなれなかった。
僕自身も、両方ともコンビニで買って、学校で誰もいない教室で食べた。
そして、今。僕はたまに回ってくる委員会の当番のため、保健室で昼食中。
サンドイッチの袋を開け、1口齧る。
…………白井くん、何、食べてるんだろう……。
ーーーーはっ!!
そ、そんな事、僕が心配することじゃないよねっ。白井くんだって、小さい子供じゃないんだし!親達が再婚するまで、自分で家事とかしてたんだしっ。
「…………………だよね。自分で出来るよね。僕がしなくても………。」
気が付くと、直ぐに白井くんの事を考えてしまう自分が嫌で、何か理由を付けるも、その事で自分のいる意味が無くなって落ち込むという、何とも悪循環なパターン。
「僕って、どうしてこうなんだろう……。」
白井くんの事は、もう諦めるしかないのに。
もう、自分の中から追い出したいのに。
学校でしか会えない前の状況なら何とかなったかも知れない。けど、今は、家に帰っても、白井くんは、いる。
「………………………はぁ。」
思わず、ため息が溢れる。買った時には美味しそうに見えたサンドイッチも、何だか味気なくて美味しくない。
「…………もう、食べるの止めよ。そういえば、もう1人の当番の人遅いなあ。」
今日は、1年の村上くんだっけ。来なきゃいけない時間から、20分も経ってる。
そう思いながら、壁の上の方に掛けてある時計を眺めていると、後ろの方で、保健室のドアがガラガラと開く音がした。
「あ、遅かったね、村上くん。どうし、たの……………。」
「村上じゃなくてすみません。当番、代わってもらいました。」
「ーーーー!!」
村上くんだと思って信じて疑わなかった僕は、話しかけながら振り向いて。
「ーーーうそ、なんでっ、」
入口に立ってる人物を認識して、思わず、手からサンドイッチを床に落としてしまった。
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