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「あれ、冗談だったんですけど……。先輩、本気で俺を………?」
「………………………。」
ああ。やっぱり。何でこんな反応してしまったんだろう。
本当に僕は、頭が固くて融通が聞かなくて………。
「そんなわけないじゃないか?」って軽く返してさえいれば、白井くんに気付かれるわけがなかった。白井くんにこんなに困った顔をさせる事もなかった。
「い、いや、あの………いいんだ。気にしないで?別に僕、白井くんとどーこーなりたい訳では無いし……っ、」
どーこーってなんだって、自分で自分を突っ込みたい。
けど、話の流れだ。僕が白井くんをそういう意味を含めて見ていることなんて、勘がいい彼にはすぐに解っているだろう。
「………すみません、先輩。俺、先輩をそういう目で見たことないっていうか……同性とどうにかなるって考えたことないので………。」
「う、うん。だから、いいんだ……っ、気にしないで……。」
白井くんは優しい。同性に好意を向けられても、嫌な顔せずに、僕を傷付けないように言葉を選んで話している。
「ありえない」とか「気持ち悪い」とか言われなくてよかった。それだけでも救われる。
だけど、そうか。
僕は、白井くんに振られたんだ。
………失恋、しちゃったんだ。
「の、残りのアンケート、さっさと終わらせてしまおう?ね?」
「………はい。」
その後は、一言も話すことなく作業を進め。20分後には、2人して保健室を後にした。
もちろん、帰りは別々だったけど。
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