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「瑞樹、ちょっと………いいか?」
「なに?父さん。」
あの後重い足取りで帰った僕は、制服を脱ぐことなくベッドに横たわっていた。
不思議と、涙は出てこなかった。
本気じゃなかったとか、そういう事じゃない。
この恋が実るなんて信じてなかったから。どこかで諦めてたから。
ずっと、卒業するまで見るだけで終わるって思ってたから。
だから、もしかして、気持ちを伝えられただけでもよかったのかも知れない。
ああ、でも。これからの委員会は気まずいかも。
たまに回ってくる、先生不在の時の昼休み当番。その時は、昼休みの間、ふたりペアで保健室に待機してなきゃいけない。
その当番にペアで当たりさえしなければ、何とか大丈夫かな…………。
委員会自体も、後3ヶ月ほどだし……。
そんな事をグルグル考えていたら、いつもより凄く早く帰ってきた父さんに、声を掛けられた。
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