彼の瞳

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※ ……願いは単純だった。 ただ彼は純粋に、この狭い場所から抜け出して、自由に動き回れる世界に飛び込みたかっただけなのだ。 ……こんな想いを抱き始めたのはいつの事だっただろう? ………………。 余りにも長い時間を、ここで過ごしすぎた。 この空間に自分がいる事。 その事自体が、自分の人格と価値観の全てを否定されているような気がして、消えてしまいそうになる。 ……連れて行って欲しい。 どこでもいい。 ここでは無い所まで……。 ここで無ければどこへだって。 ………………。 次の瞬間、彼は仄かな光を見た気がした。 ※
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