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両親に話したところ、俺が見た小さな女の子は、特徴からして、どうやら幼くして亡くなった父方の叔母さんではないかということだった。
そいつのお父さんの話によると、まだ子供だった頃、小さな妹と二人で朝から出かける約束をしていたのに、前日夜更かしをしたせいで寝坊してしまったらしい。
何度も『起きて』と訴えたが、もう少しと答える内に妹は業を煮やし、一人で家を飛び出してしまったという。そして、出先で事故に遭い、亡くなった…と。
友達のお父さんは、その時のことを今でも悔やんでいるらしく、友達の話を聞いて涙を流したという。そして、その後すぐに仏壇に手を合わせたらしい。
「今度の休みは、家族で叔母さんのお墓参りに行くんだ。俺は、もちろん会ったことないけど、安らかに成仏して下さいって祈ってくる」
「そっか。それがいいな。…けど、うんと昔に亡くなった叔母さんが、どうしてお前の枕元に化けて出て来たんだ?」
話を聞いてふむふむと思ったけれど、唯一感じた疑問。それの答えは簡単だった。
「俺、その当時のお父さんそっくりなんだって。だから、叔母さんのお墓には、人違いがいですってこともちゃんと言ってくるつもりだ」
ああ。なるほど。ちゃんと聞いてくれるといいな。
さてそれから一週間。土日の休みで父方の田舎に行った友達は、学校に来るなり嬉しそうに言った。
「お墓参りしてから、すっごく寝つきがよくなった。もう、昼間は全然眠くない」
どうやら枕元での『起きて』は、墓参りのおかげでなくなったらしい。…ホント、よかったな。
枕元…完
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