第2章

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「帰る場所なんてものは、自分で決めるものだ。どこかにきっと、お嬢ちゃんの居場所がある。お嬢ちゃんがそこに居たいと強く思うところが帰る場所になる」 「……自分で…」 「ああ……きっと、すぐに見つかる筈だぜ」 俺は、少女にそう微笑み頭を撫でてその場を立ち去る 「私の……居たいと思うところ……見つかるかな………」 ◇◆◇◆ 後日 ピンポーン 大学から帰り、洗濯機を回しているとインターホンが鳴ったので、玄関に向かう 「はいよー」 「あ、わたし、このアパートに引っ越してきた朽木柚子(くちきゆず)です」 玄関を開けると、中学生くらいの女の子が立っていた 「ん?……お前は……」 どこかで見たと思ったら……この間の露出中学生じゃないか? 「……あのときお兄さん!」 少女も気づいたらしく、驚いている 「やっぱあのときの……弟は無事か」 「はい、おかげさまで……今は病院に入院してますけど」 「そうか……よかったよかった」 「あ、あの……これつまらないものですけど」 柚子はそう言って手に持っていた引っ越し挨拶品を渡す。 「ああ、わざわざ悪いな……上がっていくか?」 「いえ、これから転入手続きをしに中学校に行かなきゃいけないので……」 「そうか、まだ中学生だったな……これから、新しいスタートというわけだ」 「はい!それじゃあ、私はこれで」 柚子は輝かしい笑顔で返事をし、そのまま学校に向かう。 最初会った時とは大違いだな……
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