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そして、ユナは少し考えた後に口を開いた。
「それでも、勝算は五分五分ですね。まず第一に問題なのは、ルセテがハワードを破るためには強力なスキルが必要になります。」
「五分五分なら十分じゃないのよ。強力なスキル? そんなの簡単よ。ほらこれアタシの指輪ろんぎぬす君に渡して。一回限りだけどアタシの爪が使えるわ。レア度★9よぉ~。」
まずい。話がトントン拍子に進んでいく。俺はこれからアルトと共にドラゴラン王国を攻めるのか?
結局話し合った中、流石に今すぐというわけにはいかず、三日後の深夜。俺とアルトでドラゴラン王国を攻めることになった。
「到着する前に死にませんかね。」
ユナは俺が行動を共にすることになったから、警戒心を少し解いたようで、クナイの柄に空いた穴に指を入れクルクル回しながら答えた。
「お前はまだ領民登録していないので城に接近するにつれて、ありとあらゆる地形効果が発動するので侵攻はすぐにバレる。そして、侵入者発見と同時に次々とプレイヤーが城から出て襲ってくるだろう。さらに城壁から砲弾が雨のように降り注ぐから注意しろ。」
「簡単にいいますね……。」
龍王が口を挟む。
「心配すんじゃねーよ。洞窟からアタシがお前をブチ投げてやるからあっという間に城壁よ。壁に激突して死ぬんじゃねーぞ。ぎゃは、ぎゃは、ぎゃはははは!!」
笑えねーよこの野郎、と思ったが口にはしなかった。
「で? お前、岩ちゃん以外にいくつの龍族と契約したんだ? マジな話、城に到達できるかどうかはそれ次第じゃねーの。」
「超竜バハムートと炎竜の眷属です。」
「あら、バハさんゲットしたの? でも、長老のバハさんはもういい歳なんだからあんまり召喚すんじゃないよ。」
それは無理だ。洞窟内でもかなりバハムートに頼っていたのだから、などとは言えず「はい」とだけ返事をした。
「もう一つ二つ欲しいところよね。」
「でしたら、龍王様がご契約してくれたら……。」
「あぁん?? 調子に乗ってんじゃねぇぞ、コノヤロー!! アタシを使役しようなんて1億年と四日はえーんだよっ! アタシはアタシをブチ転がすような奴じゃなきゃ絶対契約しないわっ!」
勢いと流れで頼んだので残念という気持ちは沸き起こってこないが、感情のオンオフが激しすぎてこっちの心がついていけない。
こんなやり取りを繰り返し、話が中々前へと進まないのでユナがまとめ始めた。
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