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「現在の状況を全てろんぎぬす隊長には話し許可を得ました。」
「別に許可なんていらねーけどな。」
ユナは龍王を無視し話を続ける。
「指輪も既に隊長のPDAに送付済みです。ということで、三日後の深夜に鷹山蓮、アルトの両名は龍王の洞窟を出てドラゴラン王国城内へ侵攻します。」
「えぇぇぇ!? オ、オラもけ?」
ゲームに集中しすぎてまったく話を聞いていなかったアルトは今頃になって慌てふためく。がしかし、龍王のひと睨みで口をつぐんだ。
「目的は闘技場内で龍王様召喚のアイテムを使用すること。龍王様が出現したらメンデルが姿を現すはずですので、後は流れで。」
後は流れでって。国を潰そうという計画だぞ。すごくグダグタな作戦だけど大丈夫なのか……。とてつもなく不安になる。
「ルセテや凛子には前もって作戦を話さなくてもいいの?」
「凛子隊長には既に伝えてある。鷹山の名前を出したら簡単に信じたが、むしろ大丈夫か?」
「あの子は真っ直ぐ過ぎるから。そこは俺が後で言っておきます。それでルセテには?」
「連絡を入れているが反応がない。心配ない。夜までになければ私が直接行って伝えてくる。」
龍王は既にいびきをかいて寝ている。二人で色々と打ち合わせているとユナのPDAが鳴り出した。
「ちょっと待て。隊長からだ。」
ユナが電話に出たので、俺はショックで呆けているアルトの肩を叩いた。
「オラはもう死ぬんでねーの? 国さ攻めて無事で帰れるわげねーど。」
ほぼ同じような気持ちだが一緒に嘆くわけにはいかない。
「大丈夫だって。ろんぎぬす隊長だっているし、ボルテクスが戦うんだからさ。」
「うぅ。オラは恋人もできねでおっ死ぬのは嫌だ。キスだって蓮さに無理矢理に何十回もされただけでちゃんとしだのはしでね。」
「ちょっ、頼むからそれ止めてくれ。絶対に美咲とか皆には言うなよ!」
「わがっだ。もういわね。」
「も、もう!?」
「一年前に美咲お姉様に会った時に言っちまったけどな。」
「えぇぇぇぇ!?」
まじかよ。戦う前にして精神に大きなダメージを受けてしまった気がする。
そして、アルトと共に「はぁぁぁぁ。」と大きなため息を一つついたところで、電話していたユナが声を荒げた。
「おい、鷹山! ルセテが今からハワードと戦うぞっ!」
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