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直樹さんの話だとこの五色が混ざった漆黒のオーラは初期世界を潰し回っていた運営幹部が使用していたスキルらしい。このスキルを纏うと魔術師系の職業でも剣士系職業以上の防御力が得られる。
もちろん、一度きりしか使えないので実践で試したことはない。
『ほら、来るぞっ!』
モニターに低い姿勢から間合いを詰める敵の姿が映し出された。
【魔炎】発動。
左手に蓄えたオーラを投げつけるようにして左から右へと薙ぐと、ぶわっと青白い炎が舞い上がった。
移動軌道上に炎が出されたにも関わらず、ハワードは動きを止めず肥前忠広で切り上げてきた。私もそれに呼応し三日月宗近で斬撃を弾き、さらに二段突き。
「しゃらくせーなっ!」
ハワードの左横頚部を切っ先が擦過するも、丸太のような蹴りが私の顔面へとヒットした。
――痛くない?
「らぁぁぁぁ!!」
私にしては珍しく雄叫びを上げながらスキが出来た脇腹を一突きする。肉を斬り裂く手応えがあったが浅い。
「てめぇぇぇぇ!!」
『上だっ!』
【魔弾】発動。
上段からの打ち下ろしを右手一本で受け止め、左手に発生させたスカイブルーの炎に包まれた弾を撃ち込んだ。
撃ち出した魔弾はハワードの腹部にヒットしたが大したダメージを与えられてはいない。それでも後転し距離を取るには十分だった。
戦える。ポルンと三日月宗近の力のおかげで、ミッドレンジ(中間距離)なら私に分があるかもしれない。
ハワードは何事もなく立ち上がり、再び得物を構えた。
「その刀が奥の手ってわけかよ。」
『迂闊に近寄るんじゃねーぞ。距離を詰められたらきちーからな。』
私は息を整えながら頷いた。
ハワードには一気に距離を縮めてくる【暗歩】というスキルがあるが、それを予想できるポルンの眼が私にはある。
私は三日月宗近を正中に構えた。
「どこで手に入れたか知らねーが、ちょっとレアな刀を装備したからっていい気になるなよ。裏切り女が。」
【打ち首獄門】発動。
宙へと舞い上がった白濁のオーラが収束し、ハワードの足元へと吸い込まれていく。
見たことのないスキルだ。
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