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このままポルンが観客の持つオーラ型兵器で攻撃しつつ戦闘すれば私は勝てる。だが、そう甘くはない。アイザックが先程の攻撃を見抜いたのだ。
「各隊員はオーラ型兵器をPDAにしまってください。決闘に手を出した者は殺しますよ。」
『んだよ、畜生! 奥の手だったのによっ!』
宝具といえども流石にPDAまでは操作できないようだ。これでもう先程のような援護は受けられない。
集中を切らさぬよう私はゆっくりと三日月宗近を正中中段に構えた。対するハワードは肩で息をし回復に努めながら怒り心頭といった様子で私を睨み続けていた。
『もう奥の手を使わねーと向こうも決めにくるぜ。武器しまえって。』
一度鞘に収めないとストックしたスキル【龍王の爪】は使えない。
だけど――。
「あのスキルは使いません。」
『はぁ? おまっ、な、何言ってんだよ。あれ使わなきゃ勝率10%もねーんだぞ?』
「10%ですか。十分な数字ですよ。蓮さんなんて勝率0%でも赤い薔薇師団に突撃しましたから。」
『ば、馬鹿! そういう問題じゃねーだろ。蓮はそういう大馬鹿な奴なんだよ。後先考えず突っ込むクセがあるんだよっ!』
「ふふふ。そうですね。でも、私は"蓮さん仕込み"ですから。」
ろんぎぬすが発動したあのスキルは尋常ではない強さだった。使えばハワードを確実に倒せるだろう。もしかしたら、同じ隊長でも格上の獄炎やさらに上のアイザックにすら通用するかもしれない。
こんな奴に【龍王の爪】を使うなんて勿体無い。
私はすり足でハワードに近づいていった。
『早く居合抜きの構えを取れってっ!』
「ポルン様、行きます。」
『お、おいっ!』
向かってくるハワードに私は真っ直ぐ得物を突き刺した。
その突きを反りながら回避したハワードを、さらに首元を狙った二段突きで追う。凛子さんの三段突きには及ばないが、これが私の得意技だ。
だがしかし、寸前で上体を左に傾けられ回避されてしまった。 そう簡単にはいかないことは分かってる。だからこそ、必死に前へと進むんだ。
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