ルセテの目的

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すり足で急接近しハワードの心臓目掛けて突きを放つが、奴の攻撃が若干早かった。 『かわせぇぇぇ!!!!』 ポルンによってモニターに映し出されたのは打ち下ろしの軌道だ。私は体幹を強く捻り半身となってそれを紙一重で回避。そして、フェンシングの突きのように右手一本でハワードの心臓を貫いた。 三日月宗近を引き抜くと真紅の液体がぴゅうっと吹き出した。ハワードは何か言おうとしたのか顎を上げ口をパクパクとさせながら半透明になっていく。 放心状態になり突きの姿勢のまま動けない私の耳元でポルンが叫んだ。 『やったじゃねーかっ!! お前、最後の一撃は相打ちじゃねーぞ! お前の手でその技術でヤツを倒したんだよっ!』 「は、はい――。」 地割れが起こったような大歓声。観客席を見回せば大番狂わせに沸く他部隊のプレイヤー達、賭けに勝ったからなのか祝砲代わりにスキル攻撃を空へと打ち上げる者までいた。 実感がまったくわかない私は地面に転がったハワードのPDAを救出した。
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