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―― 2 ――
どうにか間に合った。
ハワードとの戦闘後、ほどなくしてユナ副隊長からの連絡に気がついた。
まさか、蓮さんが私を助ける為にここに向かっていたなんて夢にも思わなかった。胸の鼓動はまだ早いままだ。
とりあえずこの場を上手くしのぎ、蓮さんを闘技場まで案内しなければならない。
城壁から飛び降り、蓮さんに接近し戦闘したフリをしてまずは状況を伝える。まず私は砲撃手に威嚇射撃を命じた。
『俺様は城門を開いとくからよ。』
蓮さんは走り込み城門の前に。私は高々と三日月宗近を掲げ叫んだ。
「侵入者、鷹山蓮およびアルトを捕捉っ!! 総員待機っ!! 私自らが捻じ伏せますっ!!」
だが、蓮さんは私を見上げようともせず、背中にある黒い剣を引き抜き切っ先を地面に擦り付けたまま引きずるようにして城内へと走り出した。
まさか私を認識していない!?
『大丈夫だっ!! ルセテ早く蓮に近づけっ!』
私はポルンの指示通り反対側の城壁へと走り、飛んだ。そして、城門をくぐった蓮さんの前へと着地する。
「蓮さん、戦うフリをしてください。私がそのまま――うぐっ。」
完全に不意を突かれた。蓮さんは左手でがっしりと私の後頭部を掴む。そして、頭を引かれ私の顎が上がった状態に。
あっ、えっ……、ちょっ、え……あ、ダメ……。
蓮さんの唇が私の唇と合わさっている。これは……キス?
口内へと滑り込まれた舌が縦横無尽に動き回り私の頭の中を真っ白にした。膝の力が抜けその場に倒れ込む。かーっと体中が熱を帯びてきて、耳までが熱い。
『がはははは!! これで3人目の犠牲者だっ!』
まったく状況が理解できない。なぜポルンは笑っているの?
『蓮はな、その剣を持つと半呪い状態になっちまうんだよ。んで、強制的にキスするんだぜっ、面白いだろ?』
「お、面白くありませんっ!!!!」
立ち上がろうとすると再び蓮さんの手が伸びてきたので、後方へと転がった。
まずい。まだ膝が震えている。上手く立てない。
「ルセテどん、逃げるっぺしたよっ!」
この声と訛りはアルトちゃんだ。
だが、逃げろと言ったアルトちゃんは容易く蓮さんに捕まり、私同様に激しくキスをされていた。
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