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蓮さんの横殴りの強振をオルカ副隊長は受け止めたが、パワー負けし踵を引きずられながら数m後方へと飛ばされた。さらに、蓮さんは黒い剣を重そうに振り上げ飛び上がった。
【メガフレア】発動。
同時に上空にいたドラゴンの咆哮が完成されつつあった。ほとばしる光と高熱で息をすることすら苦しい状況の中、オルカ副隊長は水で出来た竜を体に巻き付け飛び上がった。
そして、空中で激突する両者の刀が火花を散らす。
力負けし飛ばされたのは今度は蓮さんだったが、オルカ副隊長もバハムートから吐き出された高密度の火焔球をまともに受けた。
が、巻き付いた水竜が高速で回転し火焔球を弾いた。そして、着地した両者が再び衝突。
蓮さんは子供同士が遊ぶのチャンバラのように荒々しく剣を振るがその一撃一撃が恐ろしいほどの威力を秘めていた。寸前で回避するオルカ副隊長がいた地面は黒い剣でえぐられ大砲でも着弾したかのように破壊されている。
『やっべーなこれ。』
ポルンが"やっべー"と言ったのは蓮さんの強さではない。その強烈なプレッシャーを前にしてもまったく動じず、むしろ余裕すら感じさせるオルカ副隊長の実力だ。
オルカ副隊長は蓮さんの猛攻撃を回避しながら、離れた位置で狙い続けるアルトちゃんをも牽制している。
そして、決着は私が加勢する間もなく一瞬でついてしまった。
黒い剣を振り上げた蓮さんの懐にオルカ副隊長は入り込んだ。蓮さんの手元の柄を狙って一撃。ベイリンの剣は軽々と宙へと舞った。
「蓮さんっ!!!!」
私は得物を引き抜き地を蹴った。
オルカ副隊長は蓮さんの背後に回り込みその右腕を極め、刀を持った腕を蓮さんの首に回した。その姿を見た私は足を止めざるを得ない。
「ったく、思ったとおりだ。でもな、俺は"裏切りのルセテ"にも龍王のクーデターなどにも興味はない。こいつに聞きたいことがあるだけなんだ。」
「無理です。蓮さんは呪いによって意識が混濁しています。回復には時間が掛かりますよ。」
このままでは計画は台無し。そもそもなぜオルカ副隊長はこの計画を……。
「呪い? そんなものこいつは克服している。それとは別の罠を龍王が仕掛けたんだろ。」
意識を取り戻した蓮さんが思わず後ろを振り向こうとした。
「呪いじゃないの? いっ、痛ててて――」
が、腕を締め上げられた。
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