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「えっ!?」
蓮さんは周囲をぐるりと見回した。
「ポルンッ!? お前どこに?」
『俺様はいつもみんなの心の中にいるんだよ。』
「違います。ポルン様は私の探索機器にいます。」
『んだよ、ルセテ。ノリが悪りーな。』
「ノリとか言っている場合じゃありません。蓮さんは早く闘技場に向かってください。ここからなら数分で到着できますから。」
「うん。わかった。ポルンまたあとでな。」
蓮さんはコートの汚れを払いながら地面に落ちた黒い剣を拾おうとしたので、私は少し後ずさりをする。
『蓮、待てよ。ほら、罠を解除するアイテム買っといたぜ。』
モニターに二つのアイテムが表示されたので、私はそれをPDAへと送信しチケット化した。
「これを使用すればもう……あの、その……。」
蓮さんとのキスを思い出しみるみると熱を帯びていった私の手から蓮さんはチケットを受け取った。
「ありがとう、これで安心して戦えるよ。それにしてもボルテクスの奴、こんな罠しかけやがって……。」
ブツブツ言いながら蓮さんは私の差し出した2枚のチケットを破った。すると一瞬、暗褐色のオーラが蓮さんを取り巻いたが、それらは全て浄化されたかのように天へと霧散していった。
これでもうあの剣を装備しても蓮さんにキスされなくても済む。少し寂しいような気がして頭を左右に強く振るとポルンが困ったような声を出した。
『あっ!? あちゃー、残念だけど簡単には闘技場には到着できねーぞ。』
「どういうことだよ、ポルン。」
『ここから闘技場までの道のりは二通りあるんだけどよ、どっちも待ち伏せされているぜ。防犯カメラにしっかりと映ってるからな。えーと、待てよ。データベースで検索したところによると、右のルートにいるのが獄炎って奴だな、左はトーマスと大地の翼か。』
二人の隊長が待ち構えている。どちらかが蓮さんと遭遇すれば片方がすぐに駆けつけ、副隊長も含め三人掛かりで戦闘になってしまう可能性が高い。
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