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REXXXは1m超の砲身を右肩に担ぎ、暗視用スコープを下げ照準を右の森林地帯に合わせた。
降りしきる雪で濡れた接眼レンズをハンドタオルで拭く。
「ぼさっとしてねーで、状況説明しろよ。もう基礎データくらい出てんだろ?」
「……す、すいません」
私は意識を侵入者に送った。右手から頭部の機器へとオーラを流し、捜索範囲を詳細に戻す。
先程と表示形式が変わり、赤く点滅する印にいくつもバーが伸び、探知した情報が書き加えられていた。
「レベルは不明。せ、性別は男性、職業レア度は……★2。槍かブレードか近接攻撃型職業だと思われます。しょ、所持スキルは3つ。名前は……」
「なんだよ。名前はどうした?」
「あ、ありません。ハンネ(ハンドルネーム)は未入力のようです」
「はんっ、笑わせる。いい子ちゃんに違いねぇ。さぞかし可愛いケツしてんだろうな」
初期世界をクリアしエタンセルに入る際、プレイヤーはいくつか設定の選択を迫られる。
転職の有無、スキルの増減、持ち込むアイテムの選択、そして、ハンドルネームの設定だ。
なぜハンドルネームの入力項目があるのか真偽は定かではないが、初期世界に参加した年代によってハンドルネームを設定できたり、本名のままだったりしているらしくそれを統一するためだというのが有力だ。
エタンセルへ入ることができるプレイヤーだ。初期世界で一人二人殺していてもおかしくはない。
その後ろめたさからかほとんどのプレイヤーは、本名を語らず殺神やREXXXのように自らにハンドルネームをつける。
PDAを通した殺神からの連絡が入った。
≪……おいっ、見失ったぞ。さっさと"仔ウサギ"の居場所を教えろよ、このノロマッ!!≫
奴らが私の名前(ハンネ)を呼んだことがあっただろうか?
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