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【キャニスター弾】発動。
無色のオーラが砲身内部で増幅されると怪物が唸るような地響きが大地を通して伝わってくる。
REXXXが持つのは、私の装備するこの携帯式探索機器と同じくオーラを動力としたアイテム。
すぐさま増幅されたキャニスター弾が一切の音もなく捕捉対象へと放たれた。
スコープを通して見た光の点は動いていない。もちろんそこへと伸びる線上に書かれたデータはレア度★2のまま。オーラによって音を抑えられた弾はこの闇夜で視認することはまず不可能だ。
散弾をたっぷりと貯めこんだ弾体は捕捉対象に当たる直前で弾け拡散。スコープに映る明滅は動かない。至近距離で捕捉対象に直撃したのは間違いない。
殺気はすぐさま私に向けられる。
「裏切りやがって……」
「ち、違います。誤解です。本当に――」
「うるせぇぇぇ!」
熊のような厳(いか)つい腕が伸びてきて私の喉を絞め上げ、体を軽々と持ち上げた。
声を出すことができない。
「……軍法会議にかけるまでもねぇ。裏切り者はここで俺が殺してやる」
「――――!!!?」
まずい、それは駄目だ。
裏切り者として報告されれば、当然、遺族年金など支払われる筈がない。
両手でREXXXの腕を掴み引き剥がそうとするがビクともしない。ありったけの力を込めて足を左右にバタつかせると、更に首を絞め上げられた。
死ぬ。そんな……。意識が遠のくにつれ体の力が抜けていった。
い、いや、嫌よ。
こんな筈じゃなかった。
ごめん、ごめんね……。
薄れていく意識の中、弟達に謝りつづける私の消え入りそうな視界に赤く大きな月が映った。
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